現代日本の格差社会

ポンチョ佐藤:(河川敷にて)久々に高橋さんのご自宅での対談ですね。


サムソン高橋:段ボールにかこまれて暖を取らなくても生き延びられる季節って、最高! ほら、シートのブルーも青い空をバックに目に鮮やか…梅雨時には荒川の濁流に飲まれりして、チョッピリ大変だったけど。あと、食料も意外と豊富で助かるわ!

 

P:ヨモギタンポポナズナハコベのサラダ、思ったよりおいしいですね。

 

高:これでスーパーやコンビニのゴミ捨て場を徘徊するのも、週に一度で大丈夫。あと我ながらラッキーって思ったのが、近くにハッテン場を発見したの! これで資源ごみの日に空き缶をかき集めてサウナ通いの費用を捻出しなくても済むわ! ほら、あの中州先の葦林の中。野草を採取に迷い込んで、コックリングを付けた全裸男とバッタリ出くわしたときはびっくりしたわよ。思わず「小野田さん! もう戦争は終わったんですよ!」と絶叫してしまったわ!

 

P:今、ゆとり教育世代以降の読者がこのページから音を立てて離れていくさまがはっきり聞こえました。いいかげん現代日本社会とコミットしてください。てなわけで今回の投稿はこれなんかどうでしょう?

 

格差社会を乗り切る心構えは、どんなものでしょうか? 明るく開き直っても、勝ち組から「アウトオブ眼中」だとすると、ただただ虚しい気がするのですが。(岡山/よしだ・40)

 

P:野宿して野草食ってタダでハッテンしてる人を目の前にしてると、そんなの気にしなくてもいいんじゃない? ていう気分にはなりますね。死んでも真似したくはないですが。

 

高:そんなことないわよ。廃材を利用して堅固なおうちをお造りになっている方々を見ると、格差を感じるわ…。まあホモ世界だと、格差社会っつてもほぼ全裸の人しか見ないから判断つかないわね。

 

P:サウナと野外ハッテン場しか行かない高橋さんならではのご意見です。

 

高:コックリングが高い既製品かホームセンターで材料を調達した手作りかとかの違い? でもコックリングを手作りだなんてそれこそ『おしゃれ工房』気分で楽しそうじゃない?

 

P:そもそも底辺の高橋さんが勝ち組のゲイと接点あります?

 

高:わからないわよ。ここのハッテン場は土日は家族連れが来ちゃうから平日昼間が主なサカリアワーなんだけど、そんな時間帯にふらふらこんなとこ来れるなんて無職の貧乏かよほどの金持ちかのどっちかよ。知らずに無職の私がセレブのケツを掘ってたりするかもよ。ジョージ・マイケルだって公園の便所が大好きでしょ?

 

P:ジョージ・マイケルのケツはあんまり掘りたくないですね。

 

高:なんとなくだけど確実にウンコが付着しそうよね。セレブといえば、こないだ岸辺に流れ着いてた週刊新潮読んでたら『セックス・アンド・ザ・シティはゲイに大人気!』という今さらの記事があって、「彼女たちに憧れて六本木ヒルズの一室を借り切ってファッションショーを開いちゃいました!」とかいうゲイの談話が載ってたわよ。なんでもステキなものを見るたびに「ファービュラース!」と言うのが彼らのトレンドらしいわ。ビリビリに破り捨てて炊き出しの燃料にしたけど。勝ち組ってそういう方のこと? ぜんっぜんうらやましくないんだけど!

 

P:そうですね。どう考えても小倉東が脳裏に浮かんでしまいますものね。

 

高:ちょっと!!! 俺そんな固有名詞まで言ってないから!!!

 

P:でもこの人は「勝ち組から無視されるのがむなしい」とかって書いてますね。住む世界が違うんだからどうでもいいじゃない、と思いますけど。

 

高:待って! 今気付いたけどこの方の言う格差社会って、一般的な金の有る無しじゃなくてゲイ社会の「モテる・モテない」の格差じゃないかしら? 「勝ち組からアウトオブ眼中」って、イケメンから無視されるってことじゃ?

 

P:ああ、そうか、なるほど! …どっちにしても底辺の高橋さんはどうお答えを?

 

高:うるせえよ! あの、こないだ知人に聞いた話なんだけど、ガチムチ好きな友人に連れられてガチムチに特化されたバーにうっかり行ってしまったんですって。そのバーでの彼の会話が「いかにガチムチ好きの細がうっとうしいか」に終始してて、ウンザリだったそうよ。その方はありがちな「一生懸命ガチムチになろうとしている中途半端」らしくて…。ガチムチとしてSとかAランクだったらそんなことどーでもいいと思うんだけど、CとかDランクだからこそさらに下をやり玉に挙げて自らの存在証明をしないと不安でしかたないという。考えればゲイ社会、それもガチムチとか野郎系とかって、現代日本の格差社会を先取りしてたわけね。


P:昔、美輪明宏が人生相談で「バラはバラ、野菊は野菊。咲く場所を間違えてつらいのは本人」という、いかにもバラらしい名言をおっしゃってたんですけど、あきらめてブス同士でつるめばいいと思うんですけどね。ほら、この連載でも何度も言ってる「割れ鍋に綴じ蓋」ですよ。

 

高:だから、割れ鍋なのに綴じ蓋嫌いだからこういう人や我々がこんな連載で愚痴をこぼしてるわけで。

 

P:そしたらもうね、野菊でも必死になってバラを目指すというのはどうでしょう?

 

高:野菊は野菊、ブスはブスよ? そんなことが可能?

 

P:とりあえず筋トレやプロテインや暴飲暴食で努力というか無理したら身体だけは何とかなるじゃないですか。髪もド短髪にしましょう。ヒゲも生やしましょう。ブサイクでもそれである程度は緩和されます。縞の太いラガシャツやカンタベリー着ましょう。保護色です。これでとりあえずサウナやバーの薄暗がりだと「良く見りゃブスだけどパッと見はイケてる人」、いや、「なんとなくイケメンっぽい人」にはなれるじゃないですか。

 

高:実際そういう人っていっぱいいるわよね。でもそうやって無理やりイケメンの範疇に入り込んできた元ブスって、現ブスを思いっきり差別しそうな気がするんだけど…。

 

P:根本的な問題は悪化するだけですね…。